僕等が乗る筈だった船は沈んでいた
焼け焦げた地図だけが波に揺れていた
“weigh your anchor ― and dream on!”
海を渡る燕は渇きに戦(おのの)きながら
懐かしい故郷の春を夢見てた
“storm is coming ― ”
その船は炎に包まれて
未知の岬に消えたのです
水底に朽ちた羅針盤が
今もまだ北を指しています
また風が強くなった
道を照らす筈だった星は闇に堕ちていた
燃える舳先に独り君は佇んだ
“storm is coming ― ”
全ての光の消え去った
貴方の指の隙間には
嘗めたら少しだけ塩辛い
苦難の粒が残るでしょう
何の役にも立たないけど
少し光に似てるそれが
私が貴方に残して行く
たったひとつの
おくりもの
また風が強くなった
僕の方へ吹いて来た
weigh your anchor ― and dream on!